2023年10月13日金曜日

9月のさくら教室 「家紋についてのお話」

  9月13日(水)、さくら教室が開催されました。「家紋についてのお話 ~日本の伝統文化 家紋の由来、ルーツを知ろう~」です。

講師は「博多マイスター」で紋章上絵師の田中 善藏さんです。「博多マイスター」とは福岡市が認定した、ものづくりに関して優れた技能と相当の経験を持った技能職者のことで、技能の継承、後継者の育成を行う意思と能力のある方です。

紋章上絵師は着物に紋を入れる仕事のうち、型紙を使った刷り込み後に上絵筆で描き入れをする人です。京都などでは分業がすすみ、型、刷り込み、上絵は分業だそうですが、博多では最初から最後まで行うそうです。

講師の田中 善藏さんです


紋を入れるのに使用する道具

 皆さんは、ご自分の家の家紋をご存じですか。西洋などでは、紋章は貴族の特権ですが、日本には各家に紋があり、紋帳には4000種、全体で二万種の紋があるそうです。

家紋の表現には、草花、生き物をモチーフにしたもの、名字を紋章にしたもの、吉祥縁起に基づくもの、信仰に関連性のあるもの等、様々なものがあるそうです。

 家紋のはじまりは、平安貴族たちが自然の草花や蝶、雁、千鳥などの文様を衣服や調度品、牛車等に印として用いたことが始まりです。源頼朝の頃から武家の間にも紋が広がっていきました。武家の紋は主君に戦場で働いているところを観てもらうため遠くからでも見える様に単純な紋が多かったそうです。また家紋は本家と分家、主君と家臣などで少しずつ変えて同じ紋を使用したりしたそうです。

その後、江戸時代には庶民の間にも家紋が広がっていきました。有名な商家の紋に三井家の越後屋の紋(三越デパートのマーク)がありますね。

紙の型紙
 現在では家紋はどのような使われ方をしているでしょう。お墓に家紋が彫ってある家もあるでしょう。 
また、着物で紋付姿を目にする機会は結婚式やお葬式ぐらいですが、家紋の有無が冠婚葬祭の礼装として着用できるか否かの違いだそうです。家紋の数で礼装のランクが異なり、五つ紋は公式行事など、格調高い式に出席する際の装いだそうです。

 家紋が主君と家臣の間で一種の褒美のような形で与えられていたお話が印象的でした。名字が違っても同じ紋を使用している家は過去をたどるとどこかで繋がりがあるかもしれないそうです。自分の家の家紋もたくさんの人が使っています。みんな、繋がっていたかもしれないと思うと、楽しいですね。
 家紋について、新しく知ることがたくさんありました。テレビで戦国ものの時代劇も家紋に注目して観てみると新しい発見があるかもしれません。